HOME / 会計 / 誰でも1時間でマスターできるビジネスに不可欠な簿記の基礎
2015.11.11
誰でも1時間でマスターできるビジネスに
不可欠な簿記の基礎
簿記というと最初から苦手意識を持つ人が多い。また、1度はチャレンジしたものの途中で挫折した人も多い。
それでもビジネスにおいて、簿記や会計の考え方をしっかりと身に着けていると、本当にいろいろなところで役に立つ。
逆をいえば、簿記を知らないと、本当の意味で、ビジネスを理解しているとはいえないのだろう。
そこで、これまで簿記を敬遠していた人向けに、分かりやすく、そして途中で投げ出さないように、その基礎を解説する。
目標は1時間である。是非、集中して取り組んで欲しい。
それでもビジネスにおいて、簿記や会計の考え方をしっかりと身に着けていると、本当にいろいろなところで役に立つ。
逆をいえば、簿記を知らないと、本当の意味で、ビジネスを理解しているとはいえないのだろう。
そこで、これまで簿記を敬遠していた人向けに、分かりやすく、そして途中で投げ出さないように、その基礎を解説する。
目標は1時間である。是非、集中して取り組んで欲しい。
1. 簿記の全体像
1-1 簿記の目的 / 1-2 仕訳 / 1-3 勘定科目 / 1-4 5つのグループ
1-5 財務諸表(貸借対照表と損益計算書)
2. 貸借対照表
2-1 資産 / 2-2 負債 / 2-3 純資産(資本)
3. 損益計算書
3-1 収益 / 3-2 費用
4. 仕訳の基礎
4-1 取引を左右に分ける / 4-2 仕訳のルール / 4-3 具体的な仕訳例
5. 財務諸表の作成
5-1 総勘定元帳 / 5-2 決算整理
6. まとめ
1. 簿記の全体像
まずは、簿記の全体像を概観する。
細かいことばかりに目が行くと途中で嫌になってしまうので、簿記とはどういうものかを何となくでいいので把握して欲しい。
あなたは今日の出来事を日記に書き留めているかもしれない。それは今日起こったことを記録しておいて、後日何かの時に読み返すことを想定している。
会社や事業主が行う取引についても、記録をとっておく必要がある。
日記は自分だけが読んでわかればいいので書き方は自由だが、取引の記録は関係者全員がわかるものでなければならない。
取引の関係者がそれぞれ自由に取引を記録していては、何が何だかわからなくなってしまう。そこで、一定のルールを設けて記録することになった。
この記録するためのルールが簿記である。
最初はお金の出入りに着目して取引が記録された。
お小遣い帳をイメージしてもらえば分かり易いだろう。
ところが、この方法では、お金の動きはわかっても、そのお金がどうして入金されたのか、どのようなことにお金を使ったのかがわかりにくかった。
そこで、そのお金の動きの意味も一緒に記録する方法が考えられた。
これを取引の二面性という。
つまり、お金の増減という一面とお金の増減を生じさせている要因という一面である。
これを同時に記録する方法について説明する。
取引の二面性を一度に記録するための手段が仕訳である。
では、具体的にどのように行うかみていこう。
例)
(1)商品3,500円を仕入れた。
(2)商品10,000円を販売した。
(3)電車代500円を支払った。
取引の二面性を記録するので、一度に2つのことを記録することになる。
左側に記録するものと右側に記録するものというルールがつくられた
左側を「借方」、右側を「貸方」とよぶ。単なる名称であって特に意味はない。
(1) (借方)仕入 3,500円 (貸方)現金 3,500円
(2) (借方)現金 10,000円 (貸方)売上 10,000円
(3) (借方)交通費 500円 (貸方)現金 500円
お金が入ってきたら借方(左側)に記録し、お金が出ていったら貸方(右側)に記載するというルールである。
(1)では、商品を仕入れたからお金が出ていった。
(2)では、商品を売上げたからお金が入ってきた。
(3)では、交通費として支払ったからお金が出ていった。
こうすることにより、お金の動きだけでなくお金が動いた要因も一緒に記録できる。
仕訳のルールについては、後でまた詳しく説明するので、ここでは、左右に記録することを覚えて欲しい。
記録をするには2つの要素が必要になる。
1つは金額であり、もう1つは取引の内容である。
この取引の内容を表すものを勘定科目とよぶ。
ある人は「現金」と記録し、ある人は「お金」と記録する。またある人は「キャッシュ」と記録するのであればばらばらで分かり難くなってしまう。
そこで勘定科目の名称についても基本的に統一されている。
先ほどの例でいえば、「現金」、「売上」、「仕入」、「交通費」が勘定科目である。
勘定科目には、様々なものがあるが、それらは大きく以下の5つのグループに分類される。
(1)資産グループ
(2)負債グループ
(3)純資産(資本)グループ
(4)収益グループ
(5)費用グループ
先ほどの例にあった勘定科目は、以下のグループにそれぞれ属することになる。
「現金」:資産グループ
「売上」:収益グループ
「仕入」:費用グループ
「交通費」:費用グループ
ここでは、勘定科目には5つのグループがあることを理解しておいて欲しい。
簿記は、勘定科目と金額で取引を記録していく。1年間経過すると膨大な数の取引が記録されることになる。ただ、仕訳を並べるだけでは、取引の結果がどうであったのかはわからない。
そこで、勘定科目を5つのグループに分類した上で、勘定科目ごとに金額を集計することになる。それが、財務諸表(貸借対照表と損益計算書)である。
貸借対照表は、資産、負債及び純資産(資本)に属する勘定科目を集めた表である。
損益計算書は、収益及び費用に属する勘定科目を集めた表である。
貸借対照表と損益計算書を図示すると以下のとおりである。
以上、簿記の全体像を理解してもらったが要するに取引を記録し集計するということである。
細かいことばかりに目が行くと途中で嫌になってしまうので、簿記とはどういうものかを何となくでいいので把握して欲しい。
1-1 簿記の目的
あなたは今日の出来事を日記に書き留めているかもしれない。それは今日起こったことを記録しておいて、後日何かの時に読み返すことを想定している。会社や事業主が行う取引についても、記録をとっておく必要がある。
日記は自分だけが読んでわかればいいので書き方は自由だが、取引の記録は関係者全員がわかるものでなければならない。
取引の関係者がそれぞれ自由に取引を記録していては、何が何だかわからなくなってしまう。そこで、一定のルールを設けて記録することになった。
この記録するためのルールが簿記である。
最初はお金の出入りに着目して取引が記録された。
お小遣い帳をイメージしてもらえば分かり易いだろう。
入金 | 出金 | 残高 | |
前月繰越 | 2,000円 | ||
●月●日 売上 | 10,000円 | 12,000円 | |
●月●日 交通費 | 500円 | 11,500円 | |
●月●日 仕入 | 3,500円 | 8,000円 | |
翌月繰越 | 10,000円 | 4,000円 | 8,000円 |
ところが、この方法では、お金の動きはわかっても、そのお金がどうして入金されたのか、どのようなことにお金を使ったのかがわかりにくかった。
そこで、そのお金の動きの意味も一緒に記録する方法が考えられた。
これを取引の二面性という。
つまり、お金の増減という一面とお金の増減を生じさせている要因という一面である。
これを同時に記録する方法について説明する。
1-2 仕訳
取引の二面性を一度に記録するための手段が仕訳である。では、具体的にどのように行うかみていこう。
例)
(1)商品3,500円を仕入れた。
(2)商品10,000円を販売した。
(3)電車代500円を支払った。
取引の二面性を記録するので、一度に2つのことを記録することになる。
左側に記録するものと右側に記録するものというルールがつくられた
左側を「借方」、右側を「貸方」とよぶ。単なる名称であって特に意味はない。
(1) (借方)仕入 3,500円 (貸方)現金 3,500円
(2) (借方)現金 10,000円 (貸方)売上 10,000円
(3) (借方)交通費 500円 (貸方)現金 500円
お金が入ってきたら借方(左側)に記録し、お金が出ていったら貸方(右側)に記載するというルールである。
(1)では、商品を仕入れたからお金が出ていった。
(2)では、商品を売上げたからお金が入ってきた。
(3)では、交通費として支払ったからお金が出ていった。
こうすることにより、お金の動きだけでなくお金が動いた要因も一緒に記録できる。
仕訳のルールについては、後でまた詳しく説明するので、ここでは、左右に記録することを覚えて欲しい。
1-3 勘定科目
記録をするには2つの要素が必要になる。1つは金額であり、もう1つは取引の内容である。
この取引の内容を表すものを勘定科目とよぶ。
ある人は「現金」と記録し、ある人は「お金」と記録する。またある人は「キャッシュ」と記録するのであればばらばらで分かり難くなってしまう。
そこで勘定科目の名称についても基本的に統一されている。
先ほどの例でいえば、「現金」、「売上」、「仕入」、「交通費」が勘定科目である。
1-4 5つのグループ
勘定科目には、様々なものがあるが、それらは大きく以下の5つのグループに分類される。(1)資産グループ
(2)負債グループ
(3)純資産(資本)グループ
(4)収益グループ
(5)費用グループ
先ほどの例にあった勘定科目は、以下のグループにそれぞれ属することになる。
「現金」:資産グループ
「売上」:収益グループ
「仕入」:費用グループ
「交通費」:費用グループ
ここでは、勘定科目には5つのグループがあることを理解しておいて欲しい。
1-5 財務諸表(貸借対照表と損益計算書)
簿記は、勘定科目と金額で取引を記録していく。1年間経過すると膨大な数の取引が記録されることになる。ただ、仕訳を並べるだけでは、取引の結果がどうであったのかはわからない。そこで、勘定科目を5つのグループに分類した上で、勘定科目ごとに金額を集計することになる。それが、財務諸表(貸借対照表と損益計算書)である。
貸借対照表は、資産、負債及び純資産(資本)に属する勘定科目を集めた表である。
損益計算書は、収益及び費用に属する勘定科目を集めた表である。
貸借対照表と損益計算書を図示すると以下のとおりである。
以上、簿記の全体像を理解してもらったが要するに取引を記録し集計するということである。
2. 貸借対照表
それでは、貸借対照表について説明する。
貸借対照表は、一言でいうと財政状態を表す財務諸表である。
資産の状況、負債の状況そして資産と負債の差額である純資産(資本)の状況を表す。
資産とは会社が所有しているお金や物、債権といった将来お金にかわるものをいう。
資産グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■現金
■預金
■受取手形(商品代金として受け取った手形)
■売掛金(商品を販売した際の代金を受け取る権利)
■有価証券
■貸付金(貸したお金の返済を受ける権利)
■未収入金(入金を受ける権利)
■立替金(立替払いした代金を受け取る権利)
■土地
■建物
■車両運搬具
■備品
など
負債とは、会社が将来支払わなければならない義務のことである。
負債グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■支払手形
■買掛金
■未払金
■借入金
■預り金
など
純資産(資本)とは、資産から負債を控除したものであり、正味の財産を表す。
純資産(資本)グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■資本金
■資本準備金
■利益準備金
■任意積立金
など
貸借対照表は、一言でいうと財政状態を表す財務諸表である。
資産の状況、負債の状況そして資産と負債の差額である純資産(資本)の状況を表す。
2-1 資産
資産とは会社が所有しているお金や物、債権といった将来お金にかわるものをいう。資産グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■現金
■預金
■受取手形(商品代金として受け取った手形)
■売掛金(商品を販売した際の代金を受け取る権利)
■有価証券
■貸付金(貸したお金の返済を受ける権利)
■未収入金(入金を受ける権利)
■立替金(立替払いした代金を受け取る権利)
■土地
■建物
■車両運搬具
■備品
など
2-2 負債
負債とは、会社が将来支払わなければならない義務のことである。負債グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■支払手形
■買掛金
■未払金
■借入金
■預り金
など
2-3 純資産(資本)
純資産(資本)とは、資産から負債を控除したものであり、正味の財産を表す。純資産(資本)グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■資本金
■資本準備金
■利益準備金
■任意積立金
など
3. 損益計算書
それでは、損益計算書について説明する。
損益計算書は、一言でいうと経営成績を表す財務諸表である。
収益と費用から構成されており、収益から費用を控除したものが利益となる。
収益とは、簡単にいうと会社の稼ぎのことである。
商品を販売したら売上とう収益があがり、株式の配当を受けたら配当金という収益があがることになる。
収益グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■売上
■受取配当金
■受取利息
など
費用とは、簡単にいうと収益を生み出すためにかかる諸経費のことである。
費用グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■仕入
■給料
■通信費
■水道光熱費
■交通費
■減価償却費
■支払利息
など
損益計算書は、一言でいうと経営成績を表す財務諸表である。
収益と費用から構成されており、収益から費用を控除したものが利益となる。
3-1 収益
収益とは、簡単にいうと会社の稼ぎのことである。商品を販売したら売上とう収益があがり、株式の配当を受けたら配当金という収益があがることになる。
収益グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■売上
■受取配当金
■受取利息
など
3-2 費用
費用とは、簡単にいうと収益を生み出すためにかかる諸経費のことである。費用グループには、例えば、以下のような勘定科目が属している。
■仕入
■給料
■通信費
■水道光熱費
■交通費
■減価償却費
■支払利息
など
4. 仕訳の基礎
4-1 取引を左右に分ける
仕訳を行う上で重要なことは、取引をどのように2つの要素に分けるか考えることである。仕訳は、言ってみれば、取引の内容を勘定科目に当てはめて、借方(左側)と貸方(右側)に振り分ける作業である。
4-2 仕訳のルール
仕訳を行う上で、最も重要なルールは8つある。これを確実にマスターして欲しい。
(1)資産が増加したら借方に記載する
(2)資産が減少したら貸方に記載する
(3)負債が増加したら貸方に記載する
(4)負債が減少したら借方に記載する
(5)純資産(資本)が増加したら貸方に記載する
(6)純資産(資本)が減少したら借方に記載する
(7)収益が発生したら貸方に記載する
(8)費用が発生したら借方に記載する
ただ、これではなかなか覚えるのがやっかいである。
そのため、少し整理する。
【増加または発生したときに借方に記載するもの】
@資産の増加
A費用の発生
【増加または発生したときに貸方に記載するもの】
B負債の増加
C純資産(資本)の増加
D収益の発生
ここで、「1-5 財務諸表(貸借対照表と損益計算書)」の図をみて欲しい。
@資産及びA費用が左側(借方)に、B負債、C純資産(資本)及びD収益が右側(貸方)に記載されていることがわかる。
4-3 具体的な仕訳例
それでは仕訳のルールに則って、具体的な仕訳例をみていくことにする。例)
(1)現金1,000円で土地を購入した。
(2)2,000円を借入れたところ銀行口座に入金された。
(3)事業を始めるにあたり現金3,000円の出資を行った。
(4)商品を4,000円で掛売した。
(5)借入金5,000円を預金から返済した。
(6)商品仕入の掛代金6,000円を手形で支払った。
(7)減資を行い7,000円を振り込んだ。
(8)給料8,000円を振り込んだ。
【仕訳】
(借方) | (貸方) | |||
(1) | 土地 (資産) |
1,000円 (増加) |
現金 (資産) |
1,000円 (減少) |
(2) | 預金 (資産) |
2,000円 (増加) |
借入金 (負債) |
2,000円 (増加) |
(3) | 現金 (資産) |
3,000円 (増加) |
資本金 (純資産) |
3,000円 (増加) |
(4) | 売掛金 (資産) |
4,000円 (増加) |
売上 (収益) |
4,000円 (発生) |
(5) | 借入金 (負債) |
5,000円 (減少) |
預金 (資産) |
5,000円 (減少) |
(6) | 買掛金 (負債) |
6,000円 (減少) |
支払手形 (負債) |
6,000円 (増加) |
(7) | 資本金 (純資産) |
7,000円 (減少) |
預金 (資産) |
7,000円 (減少) |
(8) | 給料 (費用) |
8,000円 (発生) |
預金 (資産) |
8,000円 (減少) |
仕訳における資産、負債、純資産、収益及び費用の増加、減少及び発生の組み合わせのパターンは基本的に上記の8通りであることに留意して欲しい。
これを覚えたら、あとはいろいろな取引にあたって、仕訳に慣れてもらいたい。
5. 財務諸表の作成
財務諸表(貸借対照表及び損益計算書)は取引記録を勘定科目ごとに集計したものである。
集計にあたっては、各勘定科目ごとに総勘定元帳において取引を集約する必要がある。
総勘定元帳は、各勘定科目ごとに取引を集約したものである。
現金を例にとって図示すると以下のとおりである。
「4-3 具体的な仕訳例」において、(1)で土地を購入したことにより現金が1,000円減少しており、(3)で出資をしたことにより現金が3,000円増加している。
現金総勘定元帳の左側は、(3)で3,000円現金が増加して、その相手となる勘定科目は「資本金」であることを示している。
同様に、右側は、(1)で1,000円現金が減少して、その相手となる勘定科目は「土地」であることを示している。
この結果、現金の残高は、2,000円(3,000円−1,000円)ということになる。
この2,000円が、貸借対照表に計上される。
それでは、資産、負債、純資産、収益及び費用の各グループに属する勘定科目の総勘定元帳がどのように記載されるかを以下に図示する。
以上の手続きを経て、貸借対照表と損益計算書ができるのだが、ただ単に、取引を集計するだけでは財務諸表は完成しない。
一定期間(通常は1年間)の取引を集計したのち、決算整理を行って最終的に財務諸表を確定させることになる。
この決算整理だが、様々な処理を行わなければならない。
ここでは、決算整理をしなければならないことを覚えて欲しい。
そして、決算整理項目の1つである、減価償却計算について説明する。
【減価償却計算】
■期首(年度の初め)に5,000,000円で建物を購入した。
■耐用年数(使用できる期間)は10年である。
■残存価額(耐用年数が到来したときの価値)は0円である。
建物を購入した時の仕訳を考えてみよう。
<購入時の仕訳>
(借方)建物 5,000,000円 (貸方)預金 5,000,000円
(資産の増加) (資産の減少)
会社は建物を利用して売上を稼いだ。建物が収益獲得に貢献したことになる。
収益獲得に貢献した諸経費は費用である。
ところが、今、建物は全て資産として計上されている。
この建物は10年間利用することができる。10年間のうち、今期はその1年分を利用して事業を行ったことになる。したがって、今期の売上に貢献したのは、建物の価値のうちの1年分ということになる。
そのため、5,000,000円のうちの10分の1(10年のうちの1年分)である500,000円を、費用として計上するための処理を行う。この費用を減価償却費という。
したがって、決算整理処理として、以下の通り減価償却費を計上するための仕訳を行うことになる。
<決算整理仕訳>
(借方)減価償却費 500,000円 (貸方)建物 500,000円
(費用の発生) (資産の減少)
集計にあたっては、各勘定科目ごとに総勘定元帳において取引を集約する必要がある。
5-1 総勘定元帳
総勘定元帳は、各勘定科目ごとに取引を集約したものである。現金を例にとって図示すると以下のとおりである。
「4-3 具体的な仕訳例」において、(1)で土地を購入したことにより現金が1,000円減少しており、(3)で出資をしたことにより現金が3,000円増加している。
現金総勘定元帳の左側は、(3)で3,000円現金が増加して、その相手となる勘定科目は「資本金」であることを示している。
同様に、右側は、(1)で1,000円現金が減少して、その相手となる勘定科目は「土地」であることを示している。
この結果、現金の残高は、2,000円(3,000円−1,000円)ということになる。
この2,000円が、貸借対照表に計上される。
それでは、資産、負債、純資産、収益及び費用の各グループに属する勘定科目の総勘定元帳がどのように記載されるかを以下に図示する。
5-2 決算整理
以上の手続きを経て、貸借対照表と損益計算書ができるのだが、ただ単に、取引を集計するだけでは財務諸表は完成しない。一定期間(通常は1年間)の取引を集計したのち、決算整理を行って最終的に財務諸表を確定させることになる。
この決算整理だが、様々な処理を行わなければならない。
ここでは、決算整理をしなければならないことを覚えて欲しい。
そして、決算整理項目の1つである、減価償却計算について説明する。
【減価償却計算】
■期首(年度の初め)に5,000,000円で建物を購入した。
■耐用年数(使用できる期間)は10年である。
■残存価額(耐用年数が到来したときの価値)は0円である。
建物を購入した時の仕訳を考えてみよう。
<購入時の仕訳>
(借方)建物 5,000,000円 (貸方)預金 5,000,000円
(資産の増加) (資産の減少)
会社は建物を利用して売上を稼いだ。建物が収益獲得に貢献したことになる。
収益獲得に貢献した諸経費は費用である。
ところが、今、建物は全て資産として計上されている。
この建物は10年間利用することができる。10年間のうち、今期はその1年分を利用して事業を行ったことになる。したがって、今期の売上に貢献したのは、建物の価値のうちの1年分ということになる。
そのため、5,000,000円のうちの10分の1(10年のうちの1年分)である500,000円を、費用として計上するための処理を行う。この費用を減価償却費という。
したがって、決算整理処理として、以下の通り減価償却費を計上するための仕訳を行うことになる。
<決算整理仕訳>
(借方)減価償却費 500,000円 (貸方)建物 500,000円
(費用の発生) (資産の減少)
6. まとめ
以上が、簿記の基礎である。
ポイントは、以下のとおりであるので、しっかりとマスターして欲しい。
■簿記の最終目標は財務諸表(貸借対照表と損益計算書)を作成することである。
■貸借対照表は、資産、負債及び純資産から構成される。
資産から負債を控除したものが純資産である。
貸借対照表は財政状態を表す。
■損益計算書は、収益及び費用から構成される。
収益から費用を控除したものが利益である。
損益計算書は経営成績を表す。
■資産、負債、純資産、収益及び費用の5つのグループを把握しそれぞれの意味を理解する。
■5つのグループにどのような勘定科目が属しているかを理解する。
■仕訳を行う上での8つのルールを理解する。
ポイントは、以下のとおりであるので、しっかりとマスターして欲しい。
■簿記の最終目標は財務諸表(貸借対照表と損益計算書)を作成することである。
■貸借対照表は、資産、負債及び純資産から構成される。
資産から負債を控除したものが純資産である。
貸借対照表は財政状態を表す。
■損益計算書は、収益及び費用から構成される。
収益から費用を控除したものが利益である。
損益計算書は経営成績を表す。
■資産、負債、純資産、収益及び費用の5つのグループを把握しそれぞれの意味を理解する。
■5つのグループにどのような勘定科目が属しているかを理解する。
■仕訳を行う上での8つのルールを理解する。